笠取山 2015  
 2013年10月半ばに初めて山頂近くまで行くことができた笠取山。その時の印象がとても良かったので、是非再訪をと思っていました。ちょうど、ほぼ2年後の同じ10月に再訪。ブログにはアップしていましたが、HPにはまとめられていませんでした。今回、2021年の記録が先になってしまいましたが、5年後に走った印象も交えて、記憶を辿ってみたいと思います。 (2021年 8月26日 記)

笠取山手前から県道328号線方面、左後方に石鎚山 (2015.10.03)
 地形図を眺めていると、笠取山と茗荷谷川を挟んだ山の西側を走る県道328号線から、東側の山腹をトラバースする道が確認できます。ちょうど手放したMTBの代わりにシクロクロス車を手にした後だったので、多少道は荒れていても大丈夫だろうと、笠取山のメインに後半は2004年にほうじが峠方面に向かう時に登った県道211号線方面へ下ってみるコース(下図)を計画してみました。
コース 御三戸−県道328−笠取山−県道328−西川日之浦広域林道
県道328−林道大谷線−県道211−国道33−御三戸
走行距離   80q   積算標高 2500m
最高地点   笠取山山頂  標高1562m
走行日   2015年10月 3日  天候:晴れ  ANCHOR CX1
 午前4時45分、自宅を出発。経費節減のため、脇町まで下道で向かいます。脇町ICでは東の空が薄っすらと明るくなってきました。いい天気が期待できそうです。その後は途中休憩を含めて、午前7時頃に松山ICで下車。国道33号線に入り、2013年にもデポした御三戸近くへ向かいます。途中、久万高原町では雲海が見られました。
 デポ地からは午前8時過ぎにスタート、気温10℃。半袖短パンでは少し肌寒いくらいでしたが、県道328号線はすぐに登りとなるので、体温も上昇。こちら側から登るのは、2008年以来7年振りです。前半はきつく、後半は少し緩んだという当時の記憶は全くあてになりません。久万スキー場を過ぎた後半も10%を越える坂が続きました。そこまでに、予定通りなら帰路出てくるはずの広域林道との合流部と、帰路に北側に抜ける予定の分岐部を確認しておきました。天気は快晴、雲一つない空に石鎚山の雄姿が映えます。南側には中津明神山の姿も。しかし、全体としてはさほど面白い道では無いので、その後のためと先へ進みます。
御三戸 後半出てくる予定の分岐部 二ノ森〜石鎚山 後方は中津明神山
 道の勾配と異なり、うれしい記憶違いは、山頂付近まであまり展望がないと覆っていたのに、標高900m付近から東側の展望が広がってきたことです。まだ朝早い時間帯だったこともあり、斜光が山の陰影をくっきりと立体感を持たせています。気温は登りでもちょうどいいくらい。写真:左下は2008年時トップの写真とほぼ同じ付近かと思います。霧がないと、こんなに光景が異なります。下右は東へ向いて。奥の稜線、左上が二ノ森〜石鎚山、ほぼ中央部に瓶ヶ森が見えています。右手は筒上山付近かと思います。
 ここまでの光景だけでも、「いやあ、思い切ってやってきて良かったなあ」とおもいました。が、その後もずっと飽きることのない展望が続きます。随所で立ち止まっては写真撮影。しかし、帰宅後確認すると、毎度のことですが碌なものがありません。あの大展望は、やはり実際に見ていただくことが一番かと思います。標高1300mを越えると、ススキの姿も増えてきました。写真:下左は中津明神山、地形図からすると、ほぼ真西から見ているようです。
 下左の写真は、やはり東方面。奥中央は筒上山付近。手前に見える平地状み見えるところは、登ってきた県道328号線沿いの大谷集落付近かと思います。下右の写真、県道328号線のピークからは、稜線を南東方向に伸びる道を進んでみました。もう少し展望が広がるかと思っていたのですが、牧場内らしき未舗装路が遊歩道に変わったところで期待したほどの展望がなかったので引き返します。
 県道328号線のピークから西側へ少し下ったところから分岐して、笠取山の駐車場までは2qほどです。下の写真はその分岐部からすぐ、直線で登っていく道。路面はアスファルト舗装ではなく、かといってコンクリート舗装とも少し異なるように思えました。笠取山山頂は、写真の左手。空は、何処までも青く。
 ここから山頂駐車場までは、何度も停まりながら、周囲の展望を楽しみます。県道328号線の登りでも多少見えていた石鎚山方面の展望は、笠取山に向かって登り始めると、さらに広がってきます。クマザサの草原で覆われたなだらかな斜面を走る道と、周囲から奥に広がる大展望は、2度目とあっても全く色褪せません。10月だったのでクマザサの緑がややくすんでいるのが残念というのは、贅沢でしょう。写真:下右、少しズームアップすると、左手に石鎚山、中央やや右手に頭を出す瓶ヶ森が、その形状からよくわかります。
 スタート地点から笠取山山頂直下の駐車場までは約20q。予想通り2時間弱で到着しましたが、2021年現在なら3時間近くかかるでしょう。まだまだ時間的余裕もあり、SPDの靴だったので山頂まで登ってみることにしました。似たような写真が続きますが、下左は山頂から東、石鎚山から瓶ヶ森方面。登ってきた道が山肌を縫っています。

笠取山山頂の標示

足元にはリンドウ
 山頂からは360°の大展望が広がっています。その景観は、2週間前に訪れた梶ヶ森にも勝るとも劣りません。写真:下は南・四国カルスト方面に向いて。左は、姫鶴平付近。風力発電の風車が見えています。右は、その少し東側・大野ヶ原方面です。その向こうには、高知県の西南部に連なる山が重なっています。写真をアップしていないのですが、驚いたのは源氏ヶ駄馬の広さです。駄馬を登っている時には姫鶴平や五段高原のような開放感のある広さをあまり感じなかったものですが、遠望するとその認識が一掃されます。この印象は記憶に残っていなくて、2021年に登った時にも改めて感じたことでした。
 一方、北側の展望は、期待が大きかっただけに少し残念でした。山頂まで登ると、伊予灘の広がる光景が見られるのではないかと思っていたからです。写真:下右は、中山から内子方面でしょうか。重なる山並みの向こうに薄っすらと海が見えるのですが。写真:下左は西方向です。手前に見えるのは、雨乞山山頂付近にある小田スキー場でしょう。雲の上に、山の峰が見えます。あの方向に、そんな高い山があったでしょうか。以前に走った出石寺付近の山かもしれません。
 下左の写真は、北へ向いて。中央を横切る稜線は、上林峠付近かと思います。後ろに重なるのは、高縄半島の山。左手奥は、とびしま海道付近の島かと思われます。小一時間ほどウロウロとした後、笠取山を後にしましたが、県道328号線に戻るまで、往路でも見たはずの光景ですが相変わらず何度も立ち止まり見入ってしまいました。
 県道328号線に戻り、南側へ下ってきます。前回は逆走で登ってきたのですが、下り始めてクマザサの草原が途切れると大きな落葉樹林が繁っているのは記憶通り。写真:下右のように樅などの針葉樹も所々で見られます。この付近も、山頂の光景には敵いませんが、大好きなところです。ただ、この付近を過ぎると道周辺は植林された杉林が大部分となって、あまり楽しくはありません。
 さらに下ると、茗荷谷川に沿って下るようになります。茗荷谷川は仁淀川の支流ですが、ここの水も透明度が高いです。その後訪れたにこ渕安居渓谷など、仁淀川の支流は何処も仁淀ブルーの名にふさわしい水が流れています。川面を覗き込むために停車を繰り返すのは、毎度のことです。
 笠取山の分岐部から県道328号線を約10q下ったところで、西川日之浦広域林道の分岐と思われるところに出ました。印刷していた地形図で間違いないことを確認して、左方向へ。再び登り道です。分岐部からすぐのところに、西川日之浦広域林道起点の標示がありました。ここから往路で登ってきた県道328号線の合流部までは26q。山肌をトラバースしていくので、上図のように地形に沿って出入りが激しいです。初めて通る道なので期待と不安が入り混じっていましたが、結果的に道は全線アスファルト舗装でした。下右の写真のように、落ち葉や枯れ枝が道を埋め尽くすところや苔生したところも多かったのですが、路面は幸いほとんど乾いていたのが有難かったです。ロードバイクだと少しストレスが多かったかもしれません。
 左  広域林道への分岐部
 左上 林道起点の標示
 上  中津明神山
 右  広域林道の路面
 結局、3回ほど道脇に停まって林業作業中のトラックを見た以外、走っているクルマとは一台も出会いませんでした。標高700〜800m前後を上下する道は、大部分が植林された杉林です(写真:下右)。途中、3ヶ所ほど南、東南、東側に木々の間から少しだけ展望が広がるところがありましたが、上中の中津明神山が全体を見渡せるような場所は1か所だけ。四国カルスト方面を見渡せる場所もありませんでした。展望がないことはある程度予想していたので、さほど落胆はありません。笠取山での展望の余韻と、初めて(おそらく今後はないと思うので最後)の道を走る楽しみに加えて、やはり交通量がほとんど無いことはストレスがなく、展望のないこともマイナス因子には全くなりませんでした。写真:下左は、後半にあった雑木林。
 当時の記録では、この広域林道26qを2時間弱で走って県道328号線に戻ったと記していますが、今なら3時間弱くらいかかるかもしれません。先に確認していた県道328号線合流部に出て、そこから北側への分岐まで3q、標高差250mほどを登ると、県道211号線へ繋がる道へ。分岐には、林道大谷線の標示と東屋がありました。2021年にこの道を逆走した時は、なかなか楽しい道だと思ったのですが、この時の印象は後半で疲れていたためか、西川日之浦広域林道ほどではないもののあまり展望もなくと、それほどいい印象は残っていなかったようです。林道大谷線は途中で道が2本に分かれてまた合流するのですが、北側にある道が林道イワタケ線で未舗装だったことも記憶から失せていたことです。この時も無難に舗装された大谷線を進みました。
広域林道から大谷方面 林道大谷線の分岐部 林道イワタケ線分岐部 県道211号線合流部
 7qほどの林道大谷線を下ると、県道211号線に出ます。この道は2004年にほうじが峠に向いて逆走して以来。当時、7月だったのに杉木立の中の登り道は意外と涼しかった記憶だけが残っています。この日も最終近くでほとんど下りとあって、あまり記憶に残っていないのですが、2021年に登りながら撮った写真の位置とよく似たところばかりです。10月だったので上組の水田は既に稲刈り終了後。大川右岸にあった旧山中家住宅はちらっと見ただけだったのですが、今回確認すると、なんと別子村にあった建物を移転したものだとか。てっきり、この地域のものだとばかりだと思っていました。
 左  県道211号線
 上  県道211号線
 右上 上組集落付近
 右  旧山中家住宅
 下り切って国道33号線に出て、デポ地に戻ってきたのは15時でした。この後自宅まで240qほど。まっすぐ帰るつもりでしたが、松山IC付近で混雑したことが良かったのか、燧灘を眺めながら松山道を走っていると、生まれ育った香川県に入る頃に日没前となりそうです。ということで、急遽大野原ICで下車して、有明浜に寄り道です。琴弾公園にデポして、琴弾山へ向かいます。標高は50mほどですが、勾配は最大17%と短いものの結構きついです。銭形が見える展望台には観光客が10名ほど。伊吹島の上には、これから落ちてくる太陽が、まだ眩しく輝いていました。天気が良すぎて、綺麗に染まる夕焼けにはちょっと難しい条件かなと思われました。写真:下左は、展望台から有明浜。下中はお地蔵さんが横になっているように見える股島です。
  
 展望台付近は狭く、人が多いのは嫌いなので、その場で日没まで待つことを諦めて海岸へ向かいます。海岸に出ると、先程までまだ高い位置にあった太陽が、もう水平線近くまで下がってきています。伊吹島が邪魔だなあと少し北へ向かったところ、なんとまさかのだるま夕日を見ることができました。それまで何度も見た有明浜の夕暮れですが、陽が沈む西の遠くにはしまなみ海道の島々が重なっていて、太陽が水平線に落ちることはないとずっと思っていたのです。写真:上右、左手の影が伊吹島。右手の島影は魚島付近と思います。ズームアップして、下左の写真。気温の違いによるのかもしれませんが、徳島の冬に見られるだるま朝日に比べると、少しひしゃげたようにも見えます。
 笠取山の素晴らしい展望を満喫した後で、こんな素敵な光景を見ることができるとは。陽が沈んだ後も、しばらく余韻に浸っていました。ちょうど秋分から10日。ということは、春分の日の前後含めて年に4回、この地からだるま夕日を見ることができる可能性がありそうです。と思いながら、既に5年経過。笠取山は再訪できましたが、だるま夕日は一度も向かえないまま。時期だけでなく、その日の条件も重要ですから、この日は本当に運が良かったのだと思います。

 ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

ツーリング愛媛へ戻る  TOPに戻る

inserted by FC2 system