笠取山 2021  
 地形図を眺めていて、山頂付近まで自転車で登れそうな道がついている、どんなところだろうと予備知識なしに初めて大川嶺・笠取山方面に向かったのは、2008年9月後半。残念ながら、その時は笠取山へ向かおうとしたところ雨雲が出てきたため、止む無くそのまま県道328号線を四国カルスト方面に下りました。再訪は2013年10月半ば。この時も前回の印象がそれほど強くはなかったので、笠取山へは時間的余裕がありそうだということで向かってみた程度でした。ところが、予想に反して、待っていたのは広々とした草原とそこから見える大展望。前回の霧の中に、こんな素敵な光景が隠されていたとは。一目で惚れ込み、虜になってしまいました。ただ徳島からだとアプローチが長く、そう簡単に行くことはできません。今回も2015年10月以来6年振りでした。初回の印象がいいと再訪時にがっかりすることも多いのですが、落合峠同様、何度訪れても期待以上の姿をみせてくれるところだと思います。 (2021年 8月 4日 記)

県道328号線ピーク付近から笠取山 (2021.07.24)
コース  久万−県道211−笠取山−県道328−国道380−県道42−久万
走行距離   105q   積算標高 2000m
最高地点   笠取山山頂直下  標高1550m
走行日   2021年 7月24日  天候:晴れ  GIANT TCR
 休日のETC割引が中止中なので、深夜割引に合わせることと、少しでも時間的余裕を持つために午前4時前に高速道路上に。入野PAや、いつもは素通りの石鎚SAにも立ち寄って、燧灘の光景を楽しみます。川内ICで高速を降りて、デポ地の久万高原に到着後、スタートは7時過ぎ。気温はちょうど20℃。国道33号線は早朝のため交通量も少なく、最初は緩やかな下りなので肌寒いくらいでした。7qほど進んだところで、県道211号線へ右折。この道は2015年に下っているのですが、登るのは2004年以来です。地形図に上組と記載されている集落付近では、棚田に鮮やかな稲の緑。振り返ると手前の稜線の奥に石鎚山を見ることができました。
入野PAから 伊吹島と紫雲出山 県道211号線へ 上組集落付近の棚田 石鎚山が見える
 上組集落を過ぎると、道は本格的な登りとなります。この道、2004年も同じ7月だったのですが、登りにも関わらず木陰が多くて、あまり暑さを感じず、夏に走るには快適な道だと一緒に走った3人で話しながら登った記憶が今回も全く変わりありませんでした。勾配もそれほどなく、なにより樹高のある杉を中心とした林の中を進んでいくので、夏の強い陽射しが遮られます。その分、展望は全くないのですが。杉林が圧倒的に多いのですが、ところによっては下左のような雑木林も見られました。
 もちろん交通量もほとんどなありません。唯一少し勾配がきつくなった写真:下左の先にあるコーナーを回ったところで、木材を満載した大型トラックが2台下ってきただけでした。手前から何やらエンジン音がするようだと思って気付いていたので、事前にやや広めのところで立ち止まってやり過ごしました。そのまま登り続けると、ほうじが峠と美川スキー場方面への標示のある分岐部に到着しました。写真:下中上、左手へ進みます。右下の写真は美川スキー場方面から振り返って。右手から登ってきて、左手がほうじが峠方面です。ほうじが峠までは、3.4qと意外とすぐそこのようです。
 ほうじが峠方面への道と別れて、美川スキー場方面へ。この道の記憶もあまり残っていませんでしたが、路面状況は全く問題ありませんでした。勾配も同様、それほどきつくなく。少し走ったところで分岐がありました(写真:下左下)。一見右手かと思ったのですが、下るように見える左手・林道大谷線が正解です。この道沿いには、新緑時が良さそうな雑木林が繁っています(写真:下右)。2015年時は秋に下ったことと、終盤で疲れていたこともあってか、あまり印象に残っていませんでした。夏に笠取山へ向かうなら、このコースが一番かと思います。汗がでているはずのに、すぐに乾いてしまうくらい。途中、二手に分かれます(写真:下中上)。2本の道は再び合流するのですが、左手・林道イワタケ線は未舗装だったので却下(2015年も同じ林道大谷線を下りました)。
 美川スキー場の少し下方で県道328号線に合流します(写真:下左下)。県道328号線に入ると日影は少なくなりますが、標高が上がっため気温が下がって風が涼しく、ゆっくり走るには問題ありません。加えて、広がって来る展望が疲れを忘れさせてくれます。写真:下左上は、下から見上げた県道328号線のピーク付近の稜線です。大川嶺や笠取山は、まだこの後方です。美川スキー場の入り口付近には、100mほどに渡ってアジサイ。ほんの少し満開の時期を過ぎていました。合流後、しばらくは写真:下右のような落葉樹林帯の中を走っていきますが、まもなくクマザサなどの草原地帯を登っていくようになります。
 写真:下左は、東へ向いて。左奥には石鎚山が見えています。この付近まで山頂が見えていたのですが、この後笠取山山頂まで、そして再びこの付近まで下ってくるまで雲の中に隠れてしまったことが残念です。手前に登ってきた道が見えて、仁淀川上流の面河川の対岸の山々が連なる光景は、Dolomiti Passo di Giau 手前から見た光景にも匹敵する眺めだと言うのは言い過ぎでしょうか。南東に見える中津明神山も同様ずっと雲の中でしたが、写真:下右下のように、帰路、漸く頭を出してくれました。

二ノ森〜石鎚山

奥・中津明神山

中津明神山、ズームアップ
 県道328号線では峠となるピークを越えると、大川嶺から笠取山への大展望が目に飛び込んできます(トップの写真)。3度目(初めてだった2008年は霧で全く見えず)でも、そのインパクトは何ら薄れることがありません。最高です。遠いけど、思い切ってやってきて本当に良かった。広がる光景を楽しみながら、ゆっくりと少し下って笠取山へ登り返し。写真:下左は、トップの写真より少し手前、美川峰の看板のある付近から見た笠取山方面。笠取山への一直線の登り返しが右手に見えます。急勾配に見えますが、実際は数%程度です。下右は、北西方向。伊予灘方面と思うのですが、何処が何処なのか、はっきりしません。
 ここからの写真は、順不同。下左上は、県道328号線のピークより少し手前。塔が見えますが、二つ上の写真の稜線にある塔です。下左下は、北東方面。下右は、ピークからその塔方面に伸びる道へ少し進んだところから西へ。大川嶺から笠取山の全貌です。
 少し下ったところで、県道328号線から別れて笠取山へと向かいます。写真:下左は、二つ上左の写真右手に写る直線部分。下右は、直線部分を過ぎて。この先のカーブを回り込んでいくと笠取山山頂が見えてきます。瓶ヶ森林道にも似たクマザサの草原が続きます。いずれもちょっと雰囲気が異なっていますが、いずれも甲乙つけ難い素敵な光景です。
 笠取山方面へ少し進んで振り返っても、クマザサの草原が広がっています(写真:下左)。雲がなければ、ちょうどこの後方に石鎚山が見えるのですが・・・。南には、山頂付近の石灰岩採石場が特徴的な鳥形山を見ることができます。ところで、笠取山は県道328号線を南から登るルートも仁淀川支流の茗荷谷川の流れが美しいことや、後半には大きな落葉樹が見られる林もあって楽しいのですが、今回事前に通行止めを確認していました。現地で再確認すると、落石のため、なんと来年の7月まで通行止めとのこと。通行止めの地点は、国道440号線の合流部とのちょうど真中付近のようです。走力があれば四国カルストとセットで走れば2倍楽しめますが、向かおうと思われる人は要注意です。

南へ、鳥形山方面
 
県道328号線、通行止め
 県道328号線のピークに到着する頃には、南側の四国カルスト方面や中津明神山、東の石鎚山山頂付近は雲に覆われてしまいましたが、北東方向に見える上林峠や井内峠方面は晴れ渡っていました。写真:下左は上林峠方面かと思われます。山肌に見られるのは、以前はなかった大規模太陽光発電システムのようです。その向こうに見えるのは北条付近でしょうか。さらに斎灘と思われる海に芸予諸島らしい島々も肉眼では薄っすらと確認できました。写真:下右は、その少し東側、井内峠辺りでしょうか。奥に高輪半島の山々が頭を出しています。
 到着した時に雲の中だった四国カルストも、しばらく待っていると晴れてきました。写真:下左、稜線が四国カルストです。右手は姫鶴平、写真が小さいのでわかりにくいですが風力発電の風車が確認できます。左手は天狗高原付近かと思います。写真;下右は、その西手。奥に広がる草原は源氏ヶ駄馬だと思います。上述の石灰岩採取で削られた特徴的な鳥形山は、下左の左手に見えます。
 少し時間があったので、2013年同様山頂に向かおうとしてみましたが、夏場だったためか、棘のある植物が遊歩道を左右から出ているところがあり、たかだか標高差30m程ですが途中で引き返し。写真:下左は、その途中地点から北西方向。この連なる山々が同定できません。
 どちらを向いてもこんなに素晴らしい展望が広がっているのに、笠取山周辺にいたのは私と同世代に見えたハイキングのご夫婦とオートバイ乗りが一人、下る途中で登って来る家族連れのクルマ一台のみで、ほぼ独占です。いや、大満足。瓶ヶ森林道落合峠四国カルストが自転車で走る四国の道の個人的ベスト3と思っていますが、いずれも人が多くなり過ぎた嫌いがあります。笠取山は、それらに匹敵する眺めがある上に、何よりの人が少ないのがいい。また、やって来よう、そう思いながら引き返します。帰路も、ピークまでは何度も立ち止まりながら(写真:上右、下)。
 この日は笠取山をメインと考えていたので、後は時間と脚の残り具合に合わせて考えようと思っていました。当初は県道211号線を引き返すつもりでしたが、登り良かった道も下りは逆に少しストレスが多そうに思えたので、県道328号線を御三戸方面に下ることにしました。御三戸(写真:下左)からは国道33号線を北上。さすがに交通量は増えていました。余裕があればと考えていた国道380号線へと落合で左折。上手い具合にどちらも追い風でした。この国道380号線は小田まで未走区間です。走ってみると、峠となる真弓トンネルまでは幅広い2車線道でした。立派な道ですが、クルマはあまり通りません。途中、父野川郵便局近くには休憩所があって、最近は滅多に目にしない自由に使用できる水道の蛇口がありました。これ幸いと水補給です。峠の真弓トンネル付近は旧道を走ろうかとも考えていたのですが、分岐直後から荒れていて、とても走れる雰囲気ではありませんでした。

国道380号線・父野川付近

国道380号線・真弓トンネル
 トンネルを抜けると内子町(写真:下左)。この道、久万側は道周囲も父野川沿いに平地も多少広がっていたのですが、トンネルと抜けて内子側は1車線の狭い道が杉林の中を曲がりくねっています。写真:下中の神社のところまでそんな狭い道が続いた後は2車線の広い道に。小田まで結構下りました。こんなに下ると引き返す県道42号線はかなり登らなくてはならないのではと懸念。写真:下右は小田の町外れ。2008年は左手、獅子越峠・小田スキー場方面から下ってきました。
    
 国道380号線から左折して国道379号線へと2008年と同じ道を少し走った後、県道42号線へと右折(写真:下左上)。この道は父野川で国道380号線に戻るので、上述のように下った分だけ登り返しが心配でした。ところが進んでみると、往路の県道211号線とよく似て、杉林が多く展望は全くないのですが、木陰で涼しく勾配も極々緩やかで助かりました。交通量もほとんどありません。おまけに湧き水があって、冷たい水を体にぶっかけように補給(写真:下中下)。下坂場という峠(写真:下中上)も全く展望がなく、面白さには欠けるかもしれませんが、夏場に走るには有難い道でした。その後は父野川で国道380号線に戻って久万高原町まで一走り。
 デポ地まで戻ってきたのは14時半くらいでした。持ってきた水を浴びて汗を流し、帰路に付きます。川内ICで再び高速道路に。深夜割引もないので、池田井川ICで降りようかと考えていたのですが、いよ小松JCを過ぎると、左手・燧灘の島々が朝よりもずっといい条件で見えています。ということで、急遽予定変更で高松道へと進み大野原ICで下車。向かったのは、通い慣れた琴弾山。夕焼けにはまだまだ早い時間帯でしたが、燧灘の光景を楽しみます。写真:下左は西北西に向いて。手前は有明浜、後方はしまなみ海道方面の島々です。下右は、荘内半島方面。右手一番手前が荘内半島の三崎。重なる三角山は六島。左手には福山市街が見えています。
 
 下左は、小股島と股島。下右は有明浜をズームアップ。例年なら海水浴場が開かれて賑わっているはずなのですが、その姿はなく、数組の家族連れなどが干潟で遊ぶ姿が見られるのみでした。
 夕日、夕焼けも楽しんで日暮れまでというには少し時間があって、帰路へ。新猪鼻トンネル開通で快適になった国道32号線から吉野川沿いは下道で。往路と復路では川之江JCT以東で道が異なるのですが、どちらも220qとほぼ同じ距離でした。

 ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

ツーリング愛媛へ戻る  TOPに戻る

inserted by FC2 system